◆バウル◆
バウルは、バングラデシュとインドの西ベンガルの農村部に暮らす吟遊詩人です。既成の慣習や宗教にとらわれないバウルの哲学、自由な精神の解放と神への帰依を歌で歌いあげています。
バウルとは、インド亜大陸東端に位置するベンガル地方で古くから発展して来た神秘主義、「バウルの道」を歩む者ひとり、ひとりを指す言葉です。経典も、寺院も持たない彼らはその教えや体験を唄うことによって伝えてきました。組織、教団、定住する家なども持たず、放浪し、音に身をゆだねうたわれる「バウルのうた」は聞くものの魂をゆさぶります。
バウルのうたの魅力はバウルひとりひとりのもつ圧倒的な存在感と同時に歌詞に含まれた彼らの哲学にあると言えます。
バウルの歌は、日本人の心情に強く訴えるものがあり、アジアの古典および現代に通じる音楽として、もっと高い評価をされるべきでしょう。
◆ベンガル地方◆
ベンガル地方(Bengal region)は、歴史的に古い地域で人口も多いが、宗教的対立によって今日ではインドとバングラデシュによって分断されています。世界有数の米とジュートの産地でもあります。住民はベンガル人が多く、ベンガル語が話されます。
バウルの音楽や生き方は、ベンガル文化に大きな影響を与え、とくにラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore)の詩に与えた影響は絶大です。
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